My Yahoo!に追加 Add to Google Subscribe with livedoor Reader

パチンコの立ち回りポイントのまとめ

 パチンコの立ち回り管理カテゴリー前回のブログ記事では、パチンコの年間期待収支を打つ人のタイプ別に比較してみました(前回のブログ記事「パチンコの年間期待収支(打つ人のタイプ別編2))。セミプロやパチプロのように年間のプレー数が多くなると、ボーダーライン以上の台を打った場合のパチンコ期待収支はかなり安定することがわかってもらえたと思います。今回はこれまでこのカテゴリーの記事で説明してきた、パチンコの立ち回りを行う上で知っておくべきポイントをまとめたいと思います。

1.パチンコの連チャンについて
 このカテゴリーの第1回目の記事「連チャン継続率の計算」と第2回目の記事「平均連チャン回数の計算」で詳しく説明しました。知識として知っておいて欲しい内容です。パチンコの連チャン継続率Pcは確変の突入率と時短中の引き戻し率から計算されます。また、平均連チャン数は1/(1-Pc)になります。各連チャン数の発生頻度は少ない連チャン数ほど高くなるので、実際の場面ではしょぼい連チャンで終わることが良くあることを知っておいてください。大海物語M56の平均連チャン数は3.28回ですが、連チャンが3連チャン以下のしょぼい連チャンで終わる確率は66%にもなります。

2.パチンコの初当たり発生頻度について
 このカテゴリーの第3回目の記事「初当たり発生頻度の計算」で詳しく説明しました。これも知識として知っておいて欲しい内容です。パチンコの初当たりの発生頻度は二項分布で表されます。1日パチンコを打った時の初当たりの発生数はかなりばらつきます。大海物語M56の場合だと2〜12回(平均6.8回)くらいの初当たりが期待できます。ですから、初当たり間のハマリも浅い回転数から深い回転数まで打つ度にいろいろです。大海物語M56の場合だと毎日打てば1000回転以上のハマリは2日に1回くらいの頻度で起こり得ます。初当たり確率の逆数の回転数、つまり平均ハマリ回転数(大海物語M56の場合370回転)を超えるハマリは、初当たりの3回に1回くらいの頻度で起こると憶えておいてください。

3.パチンコの回転率について
 このカテゴリーの第4回目の記事「回転率の算出方法」と第5回目の記事「回転率のボーダーライン超え判定」で詳しく説明しました。回転率はパチンコの立ち回りでは最重要の管理ポイントです。パチンコを打つ時の投資1000円当たりのデジタル回転数を回転率と言います。回転率がボーダーラインを超える台を打つことが、パチンコで長期的に安定して勝つための必須条件になります。実際に打ちながら回転率は計算できますが、スタートチャッカーへの入賞個数は1000円打つ毎にかなりばらつきますので、打っている台の回転率がボーダーラインを超えているのかどうかを正確に判定するには数万円の投資が必要になります。ですから、打ちながらの回転率チェックと釘読みを併用して、少ない投資金額で優秀台を見抜くように心掛けてください。丸1日打った総回転数から計算すると、その台の回転率をかなり高い精度で求めることができますので、自分がしっかり立ち回れたかの検証は可能です。釘読みと回転率の検証を繰り返し行うことで、優秀台を見抜く力は自然と高まっていきます。

4.パチンコの出玉数について
 このカテゴリーの第6回目の記事「出玉数とボーダーライン」で詳しく説明しました。出玉数も重要な立ち回りの管理ポイントです。パチンコの大当たり1回当りの平均出玉はパチンコ雑誌に必ず書かれていますが、実際に打った時の出玉数は雑誌に書かれた数値よりも少なくなることが多いです。これはパチンコ店が釘調整で出玉をカットしているためです。出玉カットはもろにボーダーラインに影響します。大海物語M56の場合だと、出玉が100個カットされるとボーダーラインが1回転も高くなってしまいます。パチンコの立ち回りでは、パチンコ雑誌に書かれているボーダーラインを基準に台選びをします。ですから、出玉カットによるボーダーラインの上昇を考慮しないと基準がずれてしまいます。自分が普段通っているパチンコ店がどの程度出玉をカットしているのか要チェックです。

5.パチンコの期待収支について
 このカテゴリー第7回目の記事「トータル大当たり回数の確率分布計算」、第8回目の記事「期待収支計算(前編)」、第9回目の記事「期待収支計算(後編)、第10回の記事「年間期待収支(タイプ別編1)、第11回の記事「年間期待収支(タイプ別編2)で詳しく説明しました。パチンコの期待収支をばらつき(標準偏差)まで含めて知ることは、パチンコを打つ時の目標利益を設定したり、現時点の自分の収支と比較して自分の立ち回りがうまく行っているのか判断する上で非常に重要です。パチンコの1日毎の収支は、たとえボーダーラインを超えた台を打ったとしても、ばらつきが大きく、プラス収支になる確率はそれほど高くありません。しかし、年間収支になると、ボーダーラインを超えた台を打ち続けた場合は、ばらつきを含めてもかなり高い確率でプラス収支になります。大海物語M56の場合で言うと、回転率がボーダーライン+1回転の台を打った場合、年間収支がプラスになる確率は普通のサラリーマンで83%(平均収支約+60万円)、パチプロなら97%(平均収支約+250万円)になります。デジハネのスーパー海物語SAEなら、回転率がボーダーライン+1回転の台を打った場合、年間収支がプラスになる確率は普通のサラリーマンで97%(平均収支約+50万円)、パチプロならほぼ100%(平均収支約+200万円)になります。回転率がこれより高くなれば、勝率や平均期待収支はさらにアップします。パチンコを打つ期間が5年、10年と長くなればなるほど、ボーダーラインを超えた台を打ち続ければ、収支がプラスになる確率は限りなく100%に近づいて行きます。これは逆のことを言うと、回転率がボーダーライン以下の台を打ち続けた場合、負債がどんどん蓄積されていくことを意味しています。ですから、パチンコで負けないための立ち回りを実践することは、回転率がボーダーラインを超える台を打ち続けることに他なりません。上述のように釘読みと回転率の検証を繰り返し行うことで、回転率がボーダーラインを超える台を掴む精度を高めることを心掛けましょう。

 以上、パチンコの立ち回りのポイントをまとめてみました。結局のところパチンコの収支を安定してプラスに持って行くためには釘をしっかり読んで、回転率がボーダーラインを超える台を打ち続けることが必要になります。そのためには釘読みの技術を修得し、日々の自分が立ち回った台の回転率と収支を記録する習慣を身につけることが必要です。当然、回転率がボーダーラインを超える台を設置している優良店を探し出すことが第一に行うべきことになります。

 パチンコを打つ人の多くは、パチンコの連チャンや大当たり間のハマリに目が向いてしまいますが、連チャン数やハマリの深さは確率で決まってしまうもので、特別な攻略法を使わない限り、打つ人がコントロールできるものではありません。ですから、連チャンやハマリにどんなに着目しても安定したプラス収支は得られません。

 しかし、連チャンやハマリはパチンコを楽しむための大きな要素であることは間違いありません。深いハマリから一撃の大連チャンで大逆転など、ハマリと連チャンが作り出す出玉の波がパチンコを面白くし、多くの人を惹き付けているのです。ですから、このカテゴリーの記事を読まれたみなさんには、パチンコの収支を安定化させる立ち回りのポイントと、パチンコを楽しむのためのポイントを区別して理解して頂き、「負けない、そして楽しいパチンコライフ」を送るために役立てて頂きたいと思います。

 このカテゴリーは一旦ここで終了しますが、今後も記事の追加修正は行って行きます。このカテゴリーの記事の内容はパチンコだけでなく、パチスロを打つ場合にも参考になるものです。今後、パチスロについても同様の記事を書いて行こうと思いますので、パチスロを打つ方はぜひ参考にして頂きたいと思います。

パチンコの年間期待収支(打つ人のタイプ別編2)

 パチンコの立ち回り管理カテゴリー前回のブログ記事では、打つ人のタイプ別にパチンコの年間期待収支を説明しました(前回のブログ記事「パチンコの年間期待収支(打つ人のタイプ別編)」はこちら)。今回は同じテーマの追加記事です。

 前回は大海物語M56を例に、サラリーマン、セミプロそしてパチプロが1年間パチンコ打った場合の期待収支について説明しました。現在のパチンコは大海物語M56に代表されるフルスペック機と、スーパー海物語SAEに代表されるデジハネの2種類が主流となっています。そこで、今回はデジハネのスーパー海物語SAEについて打つ人のタイプ別に年間期待収支がどうなるか説明したいと思います。前回の大海物語M56と今回説明するスーパー海物語SAEの2機種の年間期待収支を知っていれば、他の機種も大体この2機種のどちらかと近いスペックになりますので、パチンコで立ち回るときの期待収支やリスクを掴むことができると思います。

 さて、計算の条件となる年間の総回転数は前回の記事で説明したように、普通のサラリーマンで180000回転、セミプロで360000万回転、パチプロで720000回転として計算しました。また、収支は等価交換店で1年間打った場合について計算しました。下の表に計算結果を示します。平均期待収支は台の回転率がボーダーライン(BL)-3回転からBL+3回転の7つのケースについて示しています(スーパー海物語SAEのボーダーラインはこちらの記事)。また、勝率(年間収支がプラスになる確率)と期待収支の標準偏差(σ)も表示しました。期待収支は平均収支±3σの範囲にほとんど収まると憶えておいてください。また、勝率が0%や100%と表示してある欄がありますが、これはほぼ0%(0.1%未満)あるいはほぼ100%(99.9%超)という意味で、完全に0%や100%にはなりません。

年間平均収支および年間勝率のタイプ別比較(スーパー海物語SAE)
サラリーマンセミプロパチプロ
年間総回転数n180000360000720000

平均収支(100万円単位)

収支の右()内は勝率/%

BL-3-1.87 (0)-3.74 (0)-7.48 (0)
BL-2-1.17 (0)-2.34 (0)-4.69 (0)
BL-1-0.55 (2)-1.11 (0.2)-2.21 (0)
BL0 (50)0 (50)0 (50)
BL+1+0.50 (97)+0.99 (99.5)+1.98 (100)
BL+2+0.94 (100)+1.89 (100)+3.78 (100)
BL+3+1.35 (100)+2.70 (100)+5.40 (100)
標準偏差σ(100万円単位)0.270.390.55


 まず、普通のサラリーマンのケースを見てみると、回転率がボーダーライン以上の台を1年間打った場合、回転率にもよりますが、50万円から135万円くらいのプラス収支が期待できます。標準偏差を考慮すると、運が良ければ200万円を少し超えるくらいのプラス収支が期待できます。大海物語M56に比べると少なめの期待収支になりますが、その分勝率はかなり高くなります。回転率がBL+1回転で勝率97%、BL+2回転以上で勝率がほぼ100%ですから、年間の平均回転率がボーダーラインを1回転以上上回ることができれば、年間収支がマイナスになる確率は非常に低いと言えます。大海物語M56では回転率がBL+1回転の台で勝率83%でしたから、スーパー海物語SAEは回転率がボーダーラインを超える台を打てれば、かなり勝ち易い台と言えます。ただし、回転率がボーダーライン以下の台を打った場合、逆に確実にマイナス収支になる台であるとも言えます。大海物語M56では回転率がBL-1回転の台を打った場合でもプラス収支になる確率が14%ありましたが、スーパー海物語SAEではわずか2%です。BL-2回転以下の台では勝率ほぼ0%です。このようにスーパー海物語SAEは回転率がボーダーラインを超えるかどうかで勝敗がはっきり出る台です。運だけでは勝てない台ですから、釘読みと回転率のチェックをしっかり行うことが必要になります。

 セミプロやパチプロの収支についてみると、回転率がボーダーライン以上の台を打った場合、期待収支はセミプロがプラス100〜300万円弱(標準偏差を考慮すると400万円くらいまで)、パチプロがプラス200〜500万円強(標準偏差を考慮すると700万円くらいまで)となり、期待収支はやはり大海物語M56に比べて少なめの金額になります。ただし、回転率がボーダーライン以上の台を打った場合の勝率はかなり高くなります。回転率がBL+1回転以上の台が打てれば、年間収支でマイナスになることはほぼ無いと言えます。釘がしっかり読めるセミプロやパチプロにとって、スーパー海物語SAEのようなデジハネは安定して稼げる台と言えます。

 以上のように、 スーパー海物語SAEは良い意味でも悪い意味でも収支が安定している台と言えます(回転率がボーダーライン以上の台を打てれば安定して勝てますし、ボーダーライン以下の台では安定して負けます。)このことは、収支の標準偏差を見ればわかります。スーパー海物語SAEの年間収支の標準偏差は大海物語M56の標準偏差の半分以下になっていますので、平均収支に対する収支のばらつきは小さく安定していると言えます。それだけ、釘調整に対して素直に収支が決まる台ということになります。このことは、当然パチンコ店も良く知っていますので、通常営業ではデジハネの釘はかなりきびしく調整されています。ですから、デジハネを打つ場合は釘読みと回転率のチェックをしっかり行うことが非常に重要となります。

 パチンコ店ではよく「デジハネは確率が甘くて遊べます」とPRしていますが、このキャッチコピーには「ボーダーラインを超えていれば」という言葉が抜けています。回転率が低ければ、初当たり確率が高くても遊べるどころか投資が嵩んで負けてしまいます。初当たり確率が甘いからと言って勝ち易いわけではないということを良く理解してください。

 デジハネは通常営業では釘がきびしくて、なかなか打てる台を見つけるのが難しいですが、新台入れ替え時やイベントでは積極的に狙っていい台です。パチンコ店が多くある地域に住んでいる人であれば、頻繁にデジハネの新台入れ替えがあると思いますので、新台イベントだけはしごして打てばかなり安定して稼げると思います。新台入れ替え時のデジハネと通常営業時の店の主力機種の優秀台をうまく打ち分けていくことが、パチンコの立ち回りの戦略では重要になります。「打つべき台を打つべきときに打つ!」を心掛けてください。

今日はここまで。

パチスロ4号機攻略法全盛期へ

 立ち回りの教訓カテゴリー、前回のブログ記事では私が大学院に行っていた1993年から1995年に掛けて、パチスロ「ニューパルサー」で立ち回っていた時期のことを書きました(前回のブログ記事「パチスロ「ニューパルサー」で立ち回りの王道を実践」はこちら)。今回の記事では大学院を卒業し、就職してからのパチスロの立ち回り状況を書きたいと思います。

 私は1995年の春に大学院を卒業し、某電気メーカーに就職しました。配属されたのは、その後約10年間過ごすことになる新潟県N市の工場でした。

 この年の秋にアルゼから攻略要素満載のパチスロ機が登場します。クランキーコンドルです。このパチスロ機の登場でパチスロ4号機はニューパルサーに代表される大量リーチ目搭載機のブームが終わり、攻略法全盛の時代に突入していきます。

 クランキーコンドルは、プレーヤーがリプレーはずしやDDTなどの攻略法を使うことを最初から想定して作られた画期的なパチスロ機でした。攻略法を使うか、使わないかで収支にかなりの影響が出る仕様になっていました。なにせ、フル攻略で打てば設定1でも機械割が100%を超える、とんでもないパチスロ機でした。

 当然、私もクランキーコンドルに飛びつきました。1995年の春くらいまではニューパルサーで設定判別を駆使してうまく立ち回っていましたが、この時期からパチンコ店の換金率が上がり始め(等価交換のパチンコ店も出始めていました)、設定5、6の高設定台がそう簡単には掴めなくなっていました。パチスロの収支がこの年の春から秋に掛けてマイナスが続いていましたから、クランキーコンドルの登場は渡りに船といった感じでした。

 当時のクランキーコンドルの立ち回りですが、サラリーマンになったため平日は夜からしかパチンコ店へ行けませんので、メインは休日に終日パチスロを打つといった感じになりました。平日は夜からパチンコ店に行って、データ表示器を見てなるべく設定が高そうな台を打つといった立ち回りをしていました。いくら攻略法があるといっても、夜の短時間勝負で低設定台を打ったらパチスロで負けるのは目に見えてますからね。平日は勝負というよりも休日の高設定台の予想のために、毎日の高設定(と思われる)台の配置の変化を確認する目的でパチンコ店に行っていました。残業で遅くなってデータだけ見て帰る日も結構ありました。

 勝負の休日ですが、朝は開店前からパチンコ店に並び、取りあえずはモーニング取りを行いました。モーニングが取れたらしばらくその台で様子見、モーニングが取れなかったら自分が予想した高設定台で粘ってみるといった立ち回りをしていました。クランキーコンドルは設定判別ができましたが、設定6以外はわかりませんでしたのでやるだけ無駄でした。私が通っていたパチンコ店は換金率6枚交換だったので、クランキーコンドルの激甘スペックで設定6が入ることは、イベント以外ではまずありませんでしたから。とにかく設定3以上の台の配置を予測することが重要でした。

 高設定台の予測といっても、当時そのパチンコ店に設置されていたデータ表示器はBIGボーナス回数しか表示されないものでしたから、BIGボーナスの多い少ないしかわかりませんでした。幸い、その店は毎日前日のパチスロ各コーナーの差玉ランキングを表示していてくれたので、BIG回数と差玉からおおよそ設定が良いかどうかはわかりました。

 当時そのパチンコ店にはクランキーコンドルが10台設置されていて、私は差玉トップ3の台の配置を毎日メモ帳に記録して、高設定台の配置の日々の変化を追うようにしていました。この高設定台の配置予想のおかげで、休日のクランキーコンドルの立ち回りでは、自分の打った総回転数とBIG回数から計算すると平均設定3〜4の台を打つことができました。パチスロの収支も月10〜15万ほどのプラスに持って行くことができました。この結果は当然攻略法をフルに使っての結果ですが、設定5、6が打てなくても何とかなるクランキーコンドルの安定性は抜群でした。

 私はその後4年程、クランキーコンドル、タコスロ、ゲッターマウス、サンダーV、花火といったアルゼ、エレコ系の攻略効果が高い台ばかり打ってゆくことになります。次回のブログ記事ではこれらの台での立ち回りについて書こうと思います。

今日はここまで。

 
 

パチンコの年間期待収支(打つ人のタイプ別編1)

 パチンコの立ち回り管理カテゴリー前回のブログ記事では、パチンコの年間期待収支について説明しました(前回のブログ記事「パチンコの期待収支計算(後編)」はこちら)。前回の記事では普通のサラリーマンがパチンコを1年間打った時の期待収支について説明しました。今回はセミプロやパチプロが1年間パチンコ打った場合の期待収支について説明します。

 パチンコを打つ人の中には、サラリーマンや主婦の他に、会社帰りにほぼ毎日パチンコ店に通うセミプロの方や収入をパチンコで得ているパチプロの方がいます。これらのヘビーなパチンコ打ちが年間どの位稼げるのか計算してみました。

 下の表は、大海物語M56を等価交換店で1年間打った場合の平均収支と勝率(年間収支がプラスになる確率)を打つ人のタイプ別に比較したものです。平均収支は台の回転率がボーダーライン(BL)-3〜BL+3までの7つのケースについて表示しています。また、収支の標準偏差(σ)も表示しています。年間収支は平均収支±3σの範囲にほとんど収まりますので(収支の確率分布が正規分布になっていれば99.7%の確率で収支がこの範囲に収まります)、平均収支と標準偏差がわかっていれば、ばらつきを含めた期待収支が把握できます。ちなみに標準偏差は回転率には依存しません(総回転数と打つ機種のスペックだけで決まってしまいます)。勝率の表の中には100%と記載されている箇所がありますが、これはほぼ100%(99.9%以上)と言う意味で完全に100%にはなりません。比較の対象は前回の記事でも説明した普通のサラリーマン、そしてセミプロ、パチプロの3つのタイプです。サラリーマンの年間の総回転数は前回の記事で説明したように180000回転として計算しています。セミプロの年間総回転数は360000回転で計算しました。平日の会社帰りは毎日プレー、土日もほとんど終日プレー(パチンコ店に行かないのは月に1、2回)としてプレー数を計算すると月に約30000回転プレーできます。したがって、年間で360000回転になります。またパチプロの年間総回転数は720000回転で計算しました。パチプロの場合は基本的には毎日パチンコ店に行くことになりますが、パチプロの方も人間ですので病気や怪我で行けない日もあるでしょう。また、家族がいれば、家の用事で行けない日もあります。この他、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始といったパチンコ店の回収時期は、パチプロはデータ取り中心で基本的にはほとんど打ちません。こういった点を考慮して、月間の稼働日数を24日稼働として計算すると月に約60000回転プレーできます。年間にすると720000回転になります。

年間平均収支および年間勝率のタイプ別比較(大海物語M56)
サラリーマンセミプロパチプロ
年間総回転数n180000360000720000

平均収支(100万円単位)

収支の右()内は勝率/%

BL-3-2.40 (0)-4.80 (0)-9.60 (0)
BL-2-1.49 (1)-2.98 (0)-5.96 (0)
BL-1-0.70 (14)-1.40 (6)-2.79 (1)
BL0 (50)0 (50)0 (50)
BL+1+0.62 (83)+1.24 (91)+2.47 (97)
BL+2+1.17 (97)+2.34 (100)+4.68 (100)
BL+3+1.66 (99.7)+3.33 (100)+6.66 (100)
標準偏差σ(100万円単位)0.640.911.28


 普通のサラリーマンが大海物語M56で回転率がBL+1回転以上の台を1年間打った場合、平均収支で+60万円〜+170万くらいが期待できます。標準偏差を考慮すると+300万円くらいまで勝てる可能性があります。勝率はBL+1回転の台で83%ですから、回転率がボーダーラインを超えていれば確実にプラス収支になると言う程ではありませんが、ボーダーラインを超えた台は十分に勝負できると言えるでしょう。ただし、普段釘も見ず、台の回転率も気にしないで打っているような人は要注意です。このような人の場合、年間の平均回転率はほぼ確実にボーダーラインを下回ってきます。回転率がBL-3回転の台だと平均で240万円、標準偏差を考慮すると400万円以上負ける可能性があります。パチンコ好きのサラリーマンの方で、毎年負け越しているような方は、自分が打った台の回転率や収支を記録する習慣を身につけ、立ち回りを見直した方がいいです。しっかり、釘を見て平均回転率をボーダーライン以上に持って行くように台選びをすれば、毎年車が買えるくらいの貯金ができるはずです。

 次にセミプロの収支を見てみます。回転率がBL+1回転以上の台を打った場合、平均収支は+120万円〜330万円くらいまで期待できます。標準偏差を考慮すると+600万円くらいまで勝つ可能性があります。勝率はBL+1回転の台で91%、BL+2回転以上の台ではほぼ100%になりますので、ボーダーラインを超えた台が打てれば普通のサラリーマンよりは安定して稼げると言えます。ボーダーライン越えの台をほぼ確実に見抜けるくらいの釘読みの技術を持った人なら、期待収支や負けるリスクを考慮すると株式投資なんかやるよりはよっぽどいい副業になります。

 次はパチプロの収支です。平均収支はBL+1回転以上の台を打った場合、+250万円〜670万円くらいまで期待できます。標準偏差を考慮すると+1000万円オーバーの可能性もあります。平均収支的にはサラリーマンが会社で稼ぐ年収と同等と言えるでしょう。勝率はBL+1回転の台で97%、BL+2回転以上の台でほぼ100%です。回転率がBL+1回転の台を打っても年間収支で負け越すのは30年に1回といったレベルです。普通のサラリーマンやセミプロの人に比べると、ボーダーラインを超える台を打った時の収支の安定性はかなり高いと言えます。では、職業としてパチプロを見た場合、サラリーマンより魅力的かと言うと、ちょっと微妙ですね。平均収支はサラリーマンの年収並みですが、収支のばらつきは標準偏差を考慮すると±380万円くらいあります。収支が平均収支よりプラス側へ行った年はいいとして、マイナス側へ行った年は生活していくのも困難な状況に追い込まれる可能性があります。また、毎日パチンコを12〜14時間打ち続けるわけですから、労働環境としてはかなり過酷です。さらに、サラリーマンと違って福利厚生関係で受けられる恩恵はほとんどありません。こういったことを考慮すると、サラリーマンをやっていた方が楽に生活できると言えます。

 さて、セミプロやパチプロの収支については、これらの人が釘をしっかり読めるという前提で、回転率がボーダーライン以下の場合の収支については説明しませんでした。しかし、パチンコ店に行くとセミプロやパチプロと同じような頻度でパチンコ店に通い、特に釘をチェックしたり、回転率を気にしたりせず、適当にパチンコを打っているような人が結構います。このような人は、前述のようにほぼ確実に平均回転率がボーダーライン以下になりますので、収支的に非常に危険な状態に陥る可能性があります。収支表を見てもらうとわかりますが、セミプロやパチプロと同じ総回転数でボーダーライン以下の台を打ったら、下手をすると500万円〜1000万円以上年間に負けてしまう可能性があります。こんな状態が2、3年続いたら借金地獄に陥るか破産してしまいます。好きでパチンコを打つのはいいですが、人生で破滅しないためにも少なくとも収支だけは記録して自分の経済状態を把握するように心がけましょう。できれば、釘と回転率をしっかりチェックして優秀台を見極める精度を高める努力をしてください。

 最後にちょっと収支の見方を変えた話をしたいと思います。パチプロの年間総回転数72万回転を1日で消化するのに何台のパチンコ台を稼働させればいいかわかりますか? 答えは約300台のパチンコ台をフル稼働に近い状態で稼働させれば消化できます。300台というと、ちょっと大きめのパチンコ店のパチンコの設置台数になります。ですから、もしパチンコ店がパチンココーナーの平均回転率がBL-2回転になるように釘調整して営業していたら、フル稼働に近い状態なら1日600万円くらいの粗利をパチンココーナーだけで稼ぐことになります。稼働率が50%でも300万円くらいになります。ということは、パチンコ店はそこそこの稼働率があれば1ヶ月で1億円くらいはパチンココーナーだけで儲けられるということになります。これが1年になると・・・・・・・。みなさんも、自分が通っているパチンコ店のパチンコ設置台数と稼働率をチェックして、その店がどれくらい儲けているか想像してみると面白いかもしれません(面白いというか、腹が立つというか)。

 今日はここまで。次回は大海物語M56よりも初当たり確率が高いスーパー海物語SAEについて、打つ人のタイプ別に年間収支を比較します。

パチスロ「ニューパルサー」で立ち回りの王道を実践

 立ち回りの教訓カテゴリー、前回のブログ記事では1993年に私がパチスロ4号機を打ち始めたときのことを書きました(前回のブログ記事「パチスロ立ち回りの新しい時代へ(4号機登場)」はこちら)。この年にパチスロ「ニューパルサー」と出会ってから、私は自分のパチスロの立ち回りを確立して行きます。

 前回のブログ記事でも書きましたが、私はイブXでノーマルパチスロ機の面白さに目覚め、パチスロ4号機独特の攻略法であるリプレイ外しやDDTを使い始めます。そしてニューパルサーで設定判別法を憶えてパチスロ4号機の立ち回りがほぼ出来上がって行きました。

 ニューパルサーを打つようになった理由はなんと言ってもあの大量リーチ目でした。山佐伝統の形から新しい形のものまで何100種類ものリーチ目がありました。毎日いろいろな位置でリールを止めてリーチ目探しを楽しんでいました。ニューパルサーの出現以降、一種のリーチ目ブームが起こり、大量リーチ目を搭載した機種が次々と現れてきます。この当時はパチスロの収支を上げることよりも、リーチ目を見るのが楽しくてパチスロを打っていたような感じでした。

 とはいってもやはり勝負ですから、勝つために使える攻略法はすべて使ってパチスロの収支を安定化する努力はしていました。リプレー外しはこの台の場合、あまり効果が無くて面倒なのでやりませんでしたが、DDTと設定判別はやっていました。設定判別の手順はもう忘れてしまいました(どっかのサイトで詳しく解説していると思います)が、これはかなり役に立ちました。

 設定判別をすると設定5、6の判別が出来たのです。当時、私がいた地域ではパチスロの換金率が8枚交換の低換金率のパチンコ店が多く、どこのパチンコ店もパチスロに高設定台をかなりの台数入れてました。イベントなんかでは1シマすべて設定6なんて言うのもありました。まあ8枚交換ですからニューパルサー全台に設定6を入れても店が大赤字なんてことは無いと思いますけどね。とにかく、設定5、6は必ずある状態だったので設定判別はかなり有効な手段でした。

 あとこの当時はモーニングセット全盛の時代で、大抵のパチンコ店でモーニングが入っていました。大学院の授業が朝一から無いときはいつもモーニング取りをしていました。モーニングでビッグを取った後、設定判別をして高設定かどうかを確認してからコインを流して授業を受けに行き、高設定が確認できた台については夕方からまたその台を打つというようなことをしていました。休日は高設定台が掴めたら終日打つといった感じでした。

 こんな立ち回りで次の年に大学院を卒業するまで、毎月ニューパルサー中心にパチスロで10から15万円ほど稼いでいました。この時期はニューパルサー以外のパチスロ4号機としてダイバーズやフリッパー3なんかも打ってました。3号機時代のパチスロの負債はこの時点でなんとか回収できました。

 この時期は今から思うと本当にパチスロについては天国のような時代でした。換金率が低いとは言っても、必ずパチンコ店に高設定台があるというのは安心感に繋がっていました。今では等価交換が普通になってしまい、新台入れ替えの直後でも無い限りパチスロの設定6が打てる機会はほとんどありませんからね。この時代は私にとっては高設定台で粘って勝つという、パチスロの立ち回りの王道を素直に実践できた貴重な時期だったと言えます。そして多くのリーチ目を堪能できた、楽しい時代でもありました。

 さて、パチスロのリーチ目ブームも2年程で醒めて行きます。1995年くらいからのパチスロ4号機はリプレー外しとDDTの効果が高い、攻略要素の高い台が主流となって行きます。クランキーコンドル、花火、大花火といった名機が登場する時代です。この時期の私のパチスロの立ち回りについては次回のブログ記事で書こうと思います。

 今日はここまで。

パチンコの期待収支計算(後編)

 パチンコの立ち回り管理カテゴリー前回のブログ記事では、パチンコの期待収支の計算方法について説明しました(前回のブログ記事「パチンコの期待収支計算(前編)」はこちら)。前回の記事ではパチンコを1日打った時の期待収支について説明しましたが、今回は1年間パチンコ打った場合の期待収支について説明します。

 前回の記事で書いたように、パチンコを1日打ったくらいでは収支のばらつきが大きく、高回転率の台を打っても思った程高い勝率にはなりません。しかし、1年といった長期間の収支になると、回転率がボーダーラインを超えるかどうかで勝率に大きな差が出てきます。

 具体的な例で説明します。前回の記事と同様に大海物語M56とスーパー海物語SAEについて、等価交換店で打った場合の年間収支確率分布の計算結果を示します。収支分布は回転率xがボーダーライン(BL)-2回転、BL、BL+2回転の3つのケースについて計算しています(BLの値は前回の記事参照)。今回の計算では総回転数nを180000回転(時短中を除く)として計算しています。この回転数は普通のサラリーマンが1年間にプレーするおおよその回転数になります。平日の会社帰りは週2回3〜4時間、土日のどちらか1日はフルにプレーするといったペースで1年間パチンコを打つとこれくらいの回転数になります。

 まず大海物語M56について収支分布を見てみます。前回の記事で説明した1日の収支分布と同様に、年間収支の分布のピークは回転率xが大きくなるとプラス収支側へ移動していきます。1日の収支分布に比べると回転率によってかなり大きくピークが動いているのがわかります。分布の形も1日の収支分布のような偏った分布から、左右対称の正規分布に近い形になっています。各回転率の平均収支はx=BL-2のケースで-1490000円、x=BLのケースで0円、x=BL+2のケースで+1169000円です。また勝率(年間収支がプラスになる確率)はx=BL-2のケースで1%、x=BLのケースで50%、x=BL+2のケースで97%です。前回説明した1日の収支分布ではx=BL+2のケースでも45%の人は負けると言う結果になっていましたが、年間収支ではx=BL+2の台を打った場合、大部分の人がプラス収支になります。平均で約120万円弱、運が良ければ300万円くらいまでの利益が期待できる分布になっています。また、x=BL-2のケースでは前回の1日の収支分布の計算結果で1/3くらいの人が勝つ可能性がありましたが、年間収支ではx=BL-2の台を打ってプラス収支になる人はほとんどいません。下手をすると300万円くらいの負債を作ってしまいます。このように年間収支で見ると、回転率による平均収支や勝率の差は非常に大きなものなります。このことは、グラフの各回転率の収支分布でオーバーラップしている範囲が、前回の1日の収支分布のときよりも格段に少なくなっていることからも理解できると思います。


次にスーパー海物語SAEの年間収支の分布を見てみます。分布の傾向は大海物語M56と同様ですが、スーパー海物語SAEの方が、各回転率の収支分布が良く分離しています(各分布のオーバーラップがより少ない)。各回転率の平均収支はx=BL-2のケースで-1172000円、x=BLのケースで0円、x=BL+2のケースで+944000円です。また勝率はx=BL-2のケースでほぼ0%、x=BLのケースで50%、x=BL+2のケースでほぼ100%です。スーパー海物語SAEの場合も前回の1日の収支分布の計算結果に比べると、各回転率毎の勝率は歴然とした差になって現れています。また、大海物語M56の年間収支分布と比べても各回転率による勝率の差ははっきりしています。x=BL+2の台を打てばほぼ確実にプラス収支になりますし、x=BL-2の台を打ったらほぼ確実にマイナス収支になります。平均年間期待収支で言うと、勝っても負けても大海物M56より少ない金額になりますが、収支の安定性はスーパー海物語SAEの方が高いと言えます。これはスーパー海物語SAEの大当たり確率が高く(大海物M56の約4倍)、トータル大当たり回数が大海物M56よりも多くなるためです。

 以上、前回と今回の記事でパチンコの1日および年間の期待収支について説明してきました。1日毎の収支はたとえ高回転率の台を打ったとしても、それ程高いものにはなりません。勝ったり負けたりの繰り返しになります。しかし、年間収支になると回転率がボーダーラインを超えているかどうかで期待収支や勝率に歴然とした差が出ます。このことは、パチンコの1日毎の勝敗に一喜一憂することが無意味であることを示しています。パチンコを打つときの立ち回りがうまく出来たかどうかの判断は、年間収支で行うべきです。しっかりボーダーラインを超える台を1年間打つことができれば、結果はプラス収支として確実に現れてきます。パチンコの立ち回りにおいて、しなければならないことはボーダーラインを超える台を打ち続けることだけです。普段から釘を見たり、自分が打った台の回転率を記録する習慣を身につけ、高回転率台を見極める精度を高めるように心がけましょう。

 さて、今回の記事では普通のサラリーマンのケースを例に年間期待収支を計算しましたが、パチンコを打つ人の中には、サラリーマンでも会社帰りにほぼ毎日パチンコ店に通うセミプロ(ただのパチンコ好きも多くいますが)や生活の大半をパチンコ店で過ごすパチプロもいます。これらのヘビーなパチンコ打ちが年間どの位稼げるのか気になるところです。期待収支によってはパチプロはサラリーマンより魅力的な職業かもしれません。次回の記事では、期待収支計算を行ってこのことについて検証してみたいと思います。

今日はここまで。


パチンコの期待収支計算(前編)

 パチンコの立ち回り管理カテゴリー前回のブログ記事では、パチンコのトータル大当たり回数の計算方法について説明しました(前回のブログ記事「パチンコのトータル大当たり回数の確率分布計算」はこちら)。今回はパチンコの期待収支計の計算方法について説明します。

 パチンコの期待収支を計算するには、トータル出玉とトータル消費玉数を計算する必要があります。トータル出玉は前回の記事で説明したトータル大当たり回数に大当たり時の平均出玉を掛けると求まります。数式で書くと、総回転数n回転でトータル大当たり回数がHtだったとき、その機種の大当たり時の平均出玉をDaveとすると、トータル出玉Dtは次ぎの式で表されます。

 次にトータル消費玉数ですが、これは台の回転率から計算します。回転率がxの台では1000円分の玉数250個消費する毎にスタートチャッカーにx個の玉が入賞することになります。と言うことは、デジタルを1回転させる度に250/x個の玉を消費することになります。したがって、総回転数n回転(時短中を除く)でのトータル消費玉数Dltは以下の式で表されます。

 トータル出玉Dtとトータル消費玉数Dltから差玉が計算できます。差玉Ddは以下の式の通りです。

等価交換の場合、Ddに玉1個の金額4円を掛ければ、総回転数n回転消化した時点での収支になります。当然、差玉Ddがプラスならプラス収支、マイナスならマイナス収支になります。ここまでの数式を総合すると、回転率xの台を総回転数n回転消化した時点で、トータル大当たり回数がHtだったときの収支Bは以下の式で表されます。

 平均期待収支を計算する場合には、この式のHtに前回の記事で説明した平均トータル大当たり回数Htaveを入れれば計算できます。期待収支のばらつき(分布幅)を計算する場合は、Bの確率分布を計算する必要があります。上の式の中でHt以外のパラメーターは、パチンコを打つ時の条件で定数です。したがって、収支がBになる確率は、前回の記事で説明したHt確率分布の式P(Ht)そのものになります。したがって、期待収支の標準偏差σBは、前回の記事で説明したHtの標準偏差σHtを用いて次の式で表されます。

σBは打つ機種のスペックだけで決まる値で、回転率には依存しません(回転率が変化しても大当たり時の出玉が変化しないという前提で計算する場合です。厳密には回転率が変化すると大当たり時の出玉も変化するのですが、その変化は微々たるものなので収支計算では無視します)。期待収支の分布幅はσBの6倍の範囲にほとんど収まると憶えておいてください。

 それでは、実際に収支Bの確率分布を計算した例を紹介します。大海物語M56とスーパー海物語SAEについて、等価交換店で1日打ったときの収支の分布を計算した結果をグラフで示します。総回転数nは2500回転で計算しています。グラフの縦軸の値に100を掛けるとパーセントになります。また、グラフは回転率がボーダーライン(BL)-2回転、ボーダーライン(BL)、ボーダーライン(BL)+2回転の3つのケースについて計算した結果を示しています。ちなみに等価交換での大海物語M56のBLは16.6回転(Dave=1700個として計算)、スーパー海物語SAEのBLは18.6回転(Dave=470個として計算)です。

まず、大海物語M56についてグラフを見てみます。回転率xが大きくなると分布のピークがプラス収支側へ移動するのがわかると思います。つまり、回転率xが大きくなると勝率が高くなっていきます。各回転率の収支分布のピークがマイナス収支側にあるので、一見するとすべてのケースで平均収支がマイナスになるように思われます。しかし、平均収支がマイナスになるのはx=BL-2の時だけです。これは前回の記事でも書きましたが、分布のすそ野がプラス収支側に伸びていて、平均値が分布のピークよりもプラス収支側にずれるためです。収支はだいたい-15万円から+25万円くらいの範囲に分布しています。標準偏差σBを計算すると75000円になりますから、収支がσBの6倍くらいの範囲に分布しているのがわかります。各回転率での平均収支はx=BL-2のケースで-21000円、x=BLのケースで0円、x=BL+2のケースで+16000円になります。また、勝率(プラス収支になる確率)はx=BL-2のケースで34%、x=BLのケースで44%、x=BL+2のケースで55%です。回転率が大きくなると単純に勝率は上がりますが、x=BL+2でも45%の確率で負けてしまうわけですから、ボーダーラインを超えた台を1日打ったくらいではそれほど高い勝率にはならないことがわかります。逆にx=BL-2の台でも約1/3の確率で勝ちますので、回転率がボーダーラインを下回っていても勝つ可能性は十分にあります。これらの計算結果から、1日の収支はばらつきが大きく、回転率の差が収支に反映され難いということがわかります。このことは、グラフで各回転率の収支分布の大部分がオーバーラップしていることからも理解できると思います。

 次に初当たり確率が大海物語M56よりも約4倍高い、スーパー海物語SAEの収支の分布を見てみます。収支分布の幅は大体±10万円くらいの範囲に収まっています。標準偏差σBを計算すると32000円になりますので、スーパー海物語SAEでも収支の分布幅はσBの6倍くらいになります。大海物語M56に比べると分布の幅は半分くらいになります。各回転率の平均収支はx=BL-2のケースで-16000円、x=BLのケースで0円、x=BL+2のケースで+13000円になります。大海物語M56に比べると、勝ち負けどちらの場合も平均収支はやや小さい金額になります。勝率はx=BL-2のケースで29%、x=BLのケースで48%、x=BL+2のケースで64%です。前述の大海物語M56に比べると、回転率毎の勝率の差が大きくなっており、より回転率の差が反映された結果になっています。グラフを見ると各回転率の収支分布のオーバーラップしている範囲が、大海物語M56よりも少なくなっていることがわかると思います。このように大当たり確率が高く、平均大当たり回数が多くなるほど回転率の差が勝率に反映されるようになります。ただし、スーパー海物語SAEの場合でも、回転率がボーダーラインを超えた台を1日打ったくらいでは安定して勝てるという程の勝率にはなりません。

 今回の記事ではボーダーラインを基準に回転率と期待収支の関係を説明しました。ボーダーラインを基準とした回転率と期待収支の関係については以下のサイトの記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

ボーダーラインとパチンコの期待収支

 以上、パチンコの期待収支の計算方法とパチンコを1日打った場合の収支の計算例を説明しました。実際に収支の計算をしてみると、1日の収支はばらつきが大きく、高回転率の台を打ってもそれほど高い勝率にはならないことがわかってもらえたと思います。しかし、パチンコを打つ期間が1ヶ月、1年と言った長い期間になってくると、回転率による期待収支や勝率の差は歴然とした形で現れてきます。次回の記事では回転率による年間期待収支の差について説明したいと思います。

 今日はここまで。





「負けない!パチンコ、パチスロ立ち回りの教訓」ページトップへ